グローバルウーマンStyle

 

【海外経験】+語学力・専門スキルを活かして、国内外でグローバルに働く!


 

英語は既に『当たり前』になった現代のビジネスシーンにおいて、 中国語を習得した人や英語・中国語・日本語と三カ国語以上を操る人にとっては、中国・台湾・香港のみならずシンガポールやマレーシア等、経済発展著しい中華圏&アジア地域において、幅広く活躍のチャンスがあります

 

実際に行う業務での専門知識やスキルが大前提。

その上ではじめて語学力は活用できるものですが、【語学そのもの】を仕事にしたい!と考える在住女性も少なくはありません。


講師や通訳・翻訳の仕事など、『言葉そのものを仕事にする』為には、どのように学習を進め、経験を積んでいけばよいのでしょう?


中国語講師・フリー通訳者として活躍中の須磨みのりさんにお話を伺いました。

現場での裏話から学習法と仕事へつなげる為の実践的なアドバイスまで満載です!  



須磨みのりさん (中国語講師、中国語フリー通訳)

 

2013.3.8掲載 

 

須磨みのりさん (大阪市在住)

中国語講師、中国語フリー通訳

 

家族: 夫

海外在住歴: 1996年10月~2001年9月 (中国・瀋陽に5年間滞在)


 現在の職業: 中国語講師、中国語フリー通訳者

 海外渡航前の職業: 機械メーカー会社員

 

須磨みのりさんのブログ 

たたきあげ中国語通訳みのさんの日記

 

「中国語ジャーナル」(2012年秋号)に掲載されました。
「中国語ジャーナル」(2012年秋号)に掲載されました。

須磨さんとは、私が上海駐在中の頃からブログを通じて交流がありましたので、結構長い期間、『みのさん』(※須磨さんのニックネーム)のことを存じ上げているわけですね。実際にお会いするのは、今回が初めてなのですが、なんだか初めてのような気がしません。『中国語ジャーナル』もしっかり拝見してましたし。(笑) 

 

はい、よろしくお願いします!『たたきあげ通訳みのさん』こと、須磨みのりです。(笑)

フリーの中国語教師、通訳学校、専門学校・・企業研修での中国語講師、裁判所の法廷通訳、フリー通訳者としてお仕事をしています。

 

 

■須磨さんは、中国語分野で、幅広く活躍してらっしゃいます。特に、通訳者というと、語学学習者の憧れの的であると同時に、難易度もトップレベルの花形職業です。通訳者になるには、簡単な道のりではなかっただろう・・・と想像するのですが、お仕事に就くまでの学習方法や努力、準備など、詳しくお話を聞かせていただけますか?

 

中国語との最初の出会いは、大学で中国語を専攻したことがきっかけでした。 しかし、当時は勉強も中途半端で、本格的に勉強し始めたのは26歳のとき。夫の海外赴任で中国・瀋陽に5年間駐在したことが転機になりました。

 

当時、瀋陽には日本人が200人程度しかいなくて、たとえば、今の上海などと比べたら、食品から何から、本当に全く日本の物など手に入らない時代でして・・・。すべて日本から個人輸入(笑)していました。 お友達の家に時々集まって、日本のお菓子が手に入ったから・・・と一緒にお茶をしたり、お菓子でも何でも手作りして助け合って暮らしていましたね。

 

 

■つい最近まで上海駐在していた私としては、ちょっと想像できない。いや、とても出来そうもない生活です。(笑)

 

はい、そうだと思いますよ!(笑) 本当に当時、田舎で何もなかったので、・・・逆に言えば、娯楽が全く無かったので、かえって中国語の勉強に励むには、いい環境だったと思います。

 

昼間は大学に通って、帰宅してからも勉強していました。一日あたり合計7時間くらい勉強していました。

それで、中国在住時に旧HSK8級を取得、帰国してから直ぐに通訳学校に通い始め、そこで6年以上勉強しました。そこでも宿題が多く、毎日中国語漬けの生活でしたね。

 

 

■それはすごいですね。帰国後すぐに通訳学校で学習というのも、生活が落ち着くまでは、なかなか大変だったと思いますが。

 

そうですね。ただ、中国語から離れる時間が長くなると、リスニング力をはじめとして実力が落ちてしまうようで怖かったんですね。

それで、帰国して間もなく、通訳学校に入って、また中国語漬けの環境を作るようにしたんです。

 

 

■なるほど、語学は環境が重要ということですね。

 

はい。なるべく中国にいた頃と同じ環境を作ろうとしました。

通訳学校に通い始めた32歳頃から、学校に通いながら、少しずつ、実際の通訳の仕事を始めました。

 

港にて説明通訳。
港にて説明通訳。

■通訳学校に在学中から、お仕事を開始したのですか?

 

はい、そうです。当時、裁判所に面接・試験に行き、運よく合格することができました。そこから、法廷通訳として少しずつお仕事をもらうようになりました。

 

当時持っていた資格は旧HSK8級のみで(中国語検定は受けていない)、面接と口頭通訳試験、作文のみで、特別な資格は要りませんでした。

 

 

■法廷通訳というと、通訳のお仕事の中でも、世間的にはあまり知られていない気がしますが。具体的にはどのような通訳のお仕事なのでしょうか?

 

犯罪を起こしてしまった被告人(中国人等)の裁判時の通訳をします。文字通り、法廷での通訳を担当します。裁判前の段階から裁判が終了するまでの期間、弁護士さんと共に、被告との接見や法廷での通訳も担当することもあります。 法廷通訳は、必ず事前に事件についての資料をもらうので、本番に備えての準備がしやすく、通訳者としてスタートするには、やりやすい仕事だと思います。 裁判所へ連絡をして、面接→試験→採用→仕事受注 という流れで、資格よりも何よりも、実際の経験を重視されます。通訳学校に通う方は、在学中からチャレンジしてみることをお勧めします。

 

裁判所内の書店等で、『法廷通訳ハンドブック』を購入できるので、これを買って準備するとよいと思います。また、裁判を傍聴して流れをつかんでおくと、よりイメージが掴みやすくていいと思います。

 

現在、現役の通訳者は中国人が多いので、日本人通訳者、もっとがんばれ~!という感じがありますね。

 

 

■なるほど、普段見聞きする機会が無いお仕事ですので、大変興味深いです。 

俗っぽくて申し訳ありませんが、被告の通訳ということで、色々な人生ドラマ、人間模様がありそうですが・・・。

 

はい、そうですね。色々ありました。(笑) 泣いたり叫んだり、掴み掛ったり・・・。中には、ふざけた態度で悪態をつくような、こちらがあきれてしまうような被告人がいることもありました。

 

でも、日本の法律をよく知らなかったり、ちょっとした出来心だったり、騙されたり、感情的になったりで、つい一線をこえてしまった・・・・というタイプの人が多いです。

 

 

■まさに、ドラマのワンシーンのような場面があるのですね。 裁判によっては、重た~い内容のこともあるかと思いますが、気分的に落ち込んだりすることはありませんか?

 

昔は、慣れるまでの間はそういうこともありましたが、今は無いです。・・・というよりも、仕事が終わって一歩外に出たら、気持ちを切り替えるようにしています。 喫茶店に入ってコーヒーを一杯飲んで、深呼吸して、気持ちをリセットします。守秘義務がありますので、そこも守らないといけませんしね。

 

中国側の日本への表敬訪問にて通訳を担当しました。
中国側の日本への表敬訪問にて通訳を担当しました。
概要説明の会議にて。
概要説明の会議にて。

 

■気分の切り替えは、どんな仕事においても、メンタル面の健康管理で大事ですね。 

語学学習者の憧れ・通訳のお仕事ですが、その道のりは決して簡単ではありません。 勉強や準備をする上で大変だったこと、苦労したことがあれば、教えてもらえますか?

 

やはり、初級の頃は進歩を実感できるのに、中級以上になると、途端に、レベルアップできているのか停滞しているのか分からなくなってしまうことですかね。それゆえにスランプに陥ったり、やめようかな~と思ったり・・・。私も、そうした時期を乗り越えるのは、大変でした。

 

それと、『中国語ができる』ということと『通訳ができる』ということは、まるっきり別物だということが帰国後に分かり、『道のりは長いなあ・・・。』と不安になりました。 帰国当時、HSK8級を取得していましたが、このレベル(中検2級同等)は、通訳の勉強のスタート地点にやっと立てる程度のものですから・・・。

 

 

■私自身も中検2級取得してから、ずっと停滞していて半ば諦め気味なので、語学学習のスランプや壁は、おっしゃる通りだなと感じます。 それでも、須磨さんの場合は、そこを越えて通訳になりました。 どのようにして、一つ壁を乗り越えましたか?

 

やはり、学習しているだけの状況だと、モチベーションが保ちづらいので、学習を続けながら、実際に仕事をしたことですね。 私の場合、帰国して一か月後には通訳学校へ通い始め、ほぼ同時に裁判所へ行って法廷通訳の登録をしたんです。 このことを通訳学校の先生に言うと、『なんて大胆な!あなたには3年早いわ!』と言われてショックを受けたのを覚えています。()

 

確かに、実際に仕事を受けてみると、被告人との接見でも聞き取れない箇所があり、何回も聞き返したりしましたし、自分の不出来さに悔しい思いもしました。ですが、この悔しさをバネとして、中国語を決してあきらめませんでした。

 

当時、30代前半は反骨精神の塊でした。どこかの雑誌に、『仕事はOJTだ!』と書かれていたのを見つけて、『使わないと覚えない』、『恥をかかなかったら身につかない』、『まずは先に行動して、自分を崖っぷちに立たせたほうが早く身につくのでは?』と考えて、依頼のあった仕事は断らずにやりました。

あえて苦しい立場に身を置くことで、また、語学力が足りない部分は、徹底して準備するなどしてやってきました。 (ゆえに、ブログは『たたきあげ中国語通訳者・・・』というタイトルにしています。笑)

 

胡錦濤・元主席が来日した時、夕食会でSP側テーブルで通訳を担当。普段会えないような人に会えるのが通訳の仕事の魅力!
胡錦濤・元主席が来日した時、夕食会でSP側テーブルで通訳を担当。普段会えないような人に会えるのが通訳の仕事の魅力!

 

■仕事と家庭との両立の為に、どのような工夫をしていますか?ご主人の協力は得られていますか?

 

私はフリーランスなので、仕事のスケジュールは全て自分で調整できます。両立はやりやすいと思いますが、仕事のブランクはできるだけ空けないように心掛けています。語学の仕事は、語学力をキープするためにも、休んでしまうと不安に陥ったり、復帰が怖くなったりしますので・・・。

 

夫は協力的ですね。中国在住の頃から、私が中国語を勉強している姿を見ているので、フリーで収入が少ない時でも(笑)、がんばって中国語の仕事を続けなさい、と言って励ましてくれました。

今現在、夫は単身赴任中ですが、戻ってきたときには、たま~~~~に鍋料理を作ってくれます。

 

 

■素敵なご主人ですね。家庭や子供を持つ女性が仕事をしていくには、やはりパートナーの協力、励ましは重要だと感じます。 ずばり、今のお仕事の魅力、やりがいは何でしょうか?

 

フリーランスで通訳をやっていて良かったなと思うのは、普段行けないところに行けて、普段会えない人に会えることも楽しいです。

例えば、胡錦涛前国家出席来日の際に、橋下前知事と平松前市長との夕食会にも同席しました。

その際に、私は胡錦涛主席のSPの方のテーブルについて、日本側の数名のかたとの円卓夕食会の通訳をしました。 ・・・ただ、通訳は、ずっとしゃべりっぱなしなので、豪華な食事がでても、なかなか箸をつけられないのが悔しいですが。() クライアントの方から「次もお願いします。」と言われると本当に嬉しいですね。

 

 

 

■最後になりますが、ずっと学んできた中国語を活かした仕事に就きたい女性の皆さんへ、アドバイスをお願いします。

 

まず、検定試験などは、学習熱が高まっている時期に、一気にとっておいたほうが良いです。やはり、会社等の採用時には、語学力を測る目安となるので、資格は無いよりあったほうが良いと思います。

また、語学の世界というのは、実は狭い世界で、人づてや紹介で仕事の依頼が来ることが多いです。だから、人脈やご縁をぜひ大切にしてくださいね。

 

仕事を待っているだけでは、なかなかチャンスはやってきません。行動しないと、何も変わりません。

通訳や翻訳の世界は、実績を重要視しますので、まずは行動して実績作りをするのがいいですね。

 

通訳に向いているのは、どちらかというと、テキパキ、ちゃきちゃきとした人、かな??

翻訳は、どちらかというと、じっくりと落ち着いて取組み、研究分析できるタイプの人が多いと思います。

 

それから、先ほども触れましたが、法廷通訳は、私のお勧めのお仕事です!

通訳ガイドは、やりがいはあると思います。しかし通訳仲間から聞くと、求められる語学力は高いのですが、仕事自体が少なく、実入りも年々少なくなってきているようです。

法廷通訳は、書籍『法廷通訳ガイドブック』があり対訳付きで参考にできます。また、接見など事前準備がある程度でき、ボキャブラリーなども事前に予想できますので、通訳としてスタートするにはちょうど良い仕事だと思います。

 

受かるコツ?としては、被告の為に通訳するのではなく『社会の為に、中立の立ち場で仕事をする』という部分を意識することですね。

今、現場で中国人通訳者が圧倒的に多いのですが、実は、日本人通訳者が必要とされています。日本人、もっとがんばって!と思っています。

 

また、裁判所での通訳以外では、警察署や弁護士会に登録するという方法もありますね。

通訳派遣会社に登録してもいいですし、翻訳でしたら、直接翻訳会社のトライアルを受けても良いと思います。

 

最後に、一般的なことですが・・・、せっかく語学を身に着けようとしているのですから、『資格を取ったら登録しよう。』とか『これが終わったら○○しよう。』とか自分に口実や猶予期間を与えてしまうよりも、今すぐにできることを先にやり始めるのがいいと思います。翻訳のトライアルや通訳の採用で落とされたとしても、また実力をつけてから再チャレンジすればいいんですよ。

 

語学の仕事を目指す女性は、生真面目で学歴も高い女性が多いせいか、完璧主義だったりして、語学レベルも高いのに、結局、途中であきらめて終わってしまう人も少なくない。 せっかく大変な学習を続けてきたのに、そんなのもったいない!!

語学を使った仕事と言っても、通訳や翻訳だけじゃないです。会社で働いたり、講師の仕事だってあります。

勉強は幅広く休まず。仕事は最初から『これだけ!』と決めつけず、まずは色々と挑戦してみて、自分に向いているものを探すほうがいいと思います。

『これが終わったら・・・』と言っているうちに、いつまでも行動しないでいると『逃げ癖』がついてしまいます。

待っていないで、どんどん行動していきましょう!

 

もし、まだ語学力に自信がないけれど、何か貢献できることをしたい・・・というのであれば、近くのボランティア団体に登録してみてもいいですし、アルバイトをしてもいいと思います。

語学学校に通って語学力を磨きつつ、そこで通訳者・翻訳者登録してみるのもいいですよね。

 

私自身は、通訳の仕事を始めてから10年。色々な仕事をしてきた今、講師の仕事が一番楽しいと感じています。 生徒さんとの掛け合い、ふれあい、そして何よりも、自分が教えた生徒さんの成長を見ることができるのが嬉しいです!

今後は教材作りに携わったり、後進を育てる仕事に、どんどんチャレンジしていきたいですね。

学習されている皆さんと交流を持つ場所も作って、応援していきたいなと思っています。

 

■通訳を目指す女性だけでなく、何かにチャレンジしたい人全てに共通のアドバイスだったと思います。実践的なアドバイスをありがとうございました。

 

(2013.2月京都 インタビュー、構成: 茉莉花)